カスタムメイド・必読編
<マジックカケの釣り付け>について。 | |
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参考意見として
・ドリル穴開けとタップによるねじ切りについて。 ミシンを開けて確認したところ、アルミダイキャスト(アルミの鋳物)のフレームで厚みはそれほどの厚みではありませんでした。 使うネジはM5のネジを使用しましたが、M5ネジのピッチは0.8mmです。 ネジ山のピッチが0.8mmというのは、ネジ山から次のネジ山までの距離ですので、穴が浅いとあまりネジ山が出来ずにネジの掛かりが浅くなってしまいます。 なので、この状態で強く締め込むと簡単にネジ山を破損してしまいます。 アルミダイキャストという脆い素材ですので、出来ればネジ山の数は3〜4くらいは欲しいところです。ということで、このマジックカケ取り付け用の穴加工は、貫通穴とするのが望ましいかと思います。 ・マジックカケをネジ(ボルト)で取り付け後に、左先端が上方向に移動する(回転する)問題 ネジが緩むというのであれば、ロックタイト社のネジロック(他のメーカーのネジ緩み止めでもかまいません)を塗布してみたらどうだろうかと思いましたが、私が実際に取り付けてみたところ、ミシンの塗装が相当ツルツルとした物であり、マジックカケの方もメッキが掛かっていることで、互いの摩擦が少ないことが原因として特に糸が上方向へ引っ張られるという悪い条件になることが分かりました。 これですと、ネジが緩まなくてもマジックカケは動きます・・と言うか動きました。 強い力で締め込むとそこそこ止まりますが、なにぶん相手がアルミなだけにネジ穴をねじ切ってしまいそうで、ちょっと怖いです。 動き止め(移動止め)には、マジックカケの裏に両面テープ(出来れば薄手)を貼り付けてみるのもよいかもと思います。 全体に張らなくても、マジックカケの長穴から左側だけでもよいかもしれません。 或いは、マジックカケのすぐ上に動き止めとして薄い板(プラ板のようなものでもいいかなと・・)を貼り付けて、上方向への移動の押さえとするのもよいかも知れません。 タップというのは、先端部分はややテーパーになっているため、先端部分はまともなネジ切りが出来ません(ただし、タップにも番手があるので、尖っている物から比較的平らな物もあります)。 つまり、浅い下穴ではあまりネジ山を切れないということになります。 余談ですが、通常は貫通穴ではストレートタップを使い、止まり穴(ドリル穴を貫通させない穴)ではスパイラルタップを使用します。 ストレートタップは、切り粉を奥へと排出し、スパイラルタップは手前側へ排出します。 止まり穴でストレートタップを使用すると、切り粉が奥に押しやられて穴が詰まります。 スパイラルタップは切り粉を手前に引き出してくれます。 フレームがさほど厚くありませんから、ドリルは貫通させて、タップも貫通させた方がいいと思います。ただし、ミシン内部に切り粉を落とすのは非常にまずいですので、中にマスキングテープなどでしっかり目止めをして穴開けをするのがベストです。 また、アルミですので、切り粉を磁石等で拾って除去することも出来ませんから(アルミは磁石につきません)、マスキングテープを撤去する際にも注意が必要です。 掃除機で一気に吸った後に、テープでペタペタして、細かい切り粉を完全に除去した方がよいでしょう。掃除機の先端に細いチューブを取り付けて吸えるようにするとくねくねと曲げられますから、細部へ潜り込ませて吸い出せますので、その方法も有効な方法です。 私は、ミシン外側の糸調節ダイヤル周りも、しっかりとマスキングテープとビニール袋などで切り粉混入対策もしました。 ドリルを貫通させる先にはミシン駆動用のカムがありますので、ミシンのプーリー(はずみ車)を回して、カムが一番遠のくようにしておくとよいと思います。 ドリルが貫通する瞬間にすぽんと抜けるので、勢い余ってその先の部品に当てて傷つける危険があります故。 鉄と違ってアルミ(しかもダイキャスト=鋳物)ですので、あまりに強い力で締め込み過ぎますとネジ山破損となります。 アルミのねじ穴は、破損時の対処方法もあるにはありますが、その場限りの高価な工具が必要になってしまいますので注意が必要です。 (アルミに鉄製のネジ穴を取り付けるという道具がありますので、破損したらそういう対処方法もあります。ヘリサートなどが有名ですが、ネジ穴補修キットも売っているようですがこちらの強度は分かりません。) また、一度止まり穴でタップまで切った後は、貫通穴にしようとして再びドリルで揉むと、最初に切ったタップ山を削り取ってしまう可能性がありますので、貫通穴への再加工にはそれなりに注意が必要です。 |
―本章― 取り付け実技 |
−械abyLock職業用ミシン「EP−9600」 |
1)ミシン上部の2カ所のネジを外し、上部フタを外します。 上部フタは、ハーネス(電線の平たい束)がミシン本体の基板と繋がっていますのでこれを外します。 コネクタは、向きがあるので復帰するときは注意します。 基本的にコネクタは向きが違うとはまらないようには出来ていますが、念の為に何色の電線がどちらを向いているか(例えば黄色の電線が手前か右かというように)メモをしておきます。 断線防止の為コネクタ部分を持って引く抜くのが基本ですが、コネクタが小さいのと場所が混み合っていてコネクタを掴めないので仕方ないですが、電線自体をあまり無理に引っ張らないように注意します。 2)針上下位置移動、糸巻きスイッチなどが付いている全面操作パネルを外します。 操作パネルはネジ4本で付いていますので、これを外し、右側側面カバーのネジを緩めます。 側面カバーは操作パネルの右側の取り付け用の爪を押さえているので、操作パネルを外す際に爪を折らないように注意します。 操作パネルはハーネス2本が繋がっていますので、それを外します。同様にコネクタの向きをメモしておきます。 2本のハーネスの内、1本が黒いチューブを1周するように取り回してありますので、後で復帰するときは同じようにします。 3)マジックカケの位置決めをします。 マジックカケの取り付け面に両面テープを貼り、位置を決めたら仮に貼り付けます。 (両面テープは、マジックカケの長穴に掛からないように長穴から左側のみに貼ります) この状態で、仮に糸を通して糸がどこかと干渉しないかを確認します。 ミシンのプーリー(はずみ車)を1回転させて、糸天秤が上下してもマジックカケおよび通した糸が干渉しないか、マジックカケと糸調節ダイヤルとの隙間が狭すぎて糸かけし難くくならないかも確認しておきます。 マジックカケの長穴の内側をシャーペンでなぞり、印を付けたらマジックカケを外します。 この長穴の中心に穴開け位置をマーキングします。「補足A」 4)穴開け前に各部に切り粉飛散用のマスキングをします。 穴開け予定場所のミシン内部にミシンの部品がないか確認します。エクシムプロでは駆動用のカムがありますので、はずみ車を回して一番遠のく位置にしておきます。 切り粉がミシン内部や糸調節ダイヤル等に入り込まないように、入念にマスキングテープで覆います。 5)タップ(ネジ穴)用の下穴を開けます。「補足B」 必要なねじ、道具類 ・M4ネジを使用するとき:ネジ長さM4*10〜12mm程度(エクシムプロの場合)、 下穴ドリル径3.3mm、タップM4用 ・M5ネジを使用するとき:ネジ長さM5*10〜12mm程度(エクシムプロの場合)、 下穴ドリル径4.2mm、タップM5用 *ネジ長さはマジックカケを取り付けた時、開けたタップを貫通し(内側からみて少しネジの先端が出る程度)且つミシン内部部品に当たらない長さを選定します。 ・タップハンドル、電動ドリル、切削油(スプレータイプが便利) ・好みに応じて2mm程度のドリル、面取りリーマか8〜10mm位のドリル ポンチで少しずつ軽く叩きながらドリル先端のガイドとなるへこみを付けますが、ミシンボディを割りそうなほど激しく叩かないように。「補足C」 位置決めが出来たらドリルで実際に穴開けしますが、穴は地面に対して水平ではなく、マジックカケの取り付ける面に対して垂直になるように開けます。「補足D」 タップ下穴が開いたら、穴の入り口部分を8〜10mmくらいのドリルで少し面取りします(面取りリーマならベストですが、ドリルで構いません)。面取りしなくてもネジは入りますが、面取りすることで入れやすくなります。この作業は好みで。 6)切り粉を入念に除去します。 掃除機で切り粉を吸います。特に、ミシン内部の切り粉はしっかり除去しましょう。マスキングテープを剥がした後にもテープでペタペタしながら入念に。最後にウエスで拭き上げます。 7)操作パネルのマジックカケに干渉する部分をカットします。 一旦マジックカケを取り付けて、操作パネルを嵌めてみます。まだ、コネクタは接続しません。マジックカケに当たる部分をシャーペンでマークします。 パネルソーなどのプラスチック切断用鋸などで、やや少なめにカットします。 操作パネルをあてがってまだ干渉する部分をヤスリで調整しながら削ります。 削り終えたら細かいヤスリかペーパーで仕上げますが、前面(化粧面)を傷つけないように注意。 8)操作パネル、上フタを取り付けます。 フタを閉める前に、マジックカケを取り付けた状態でネジと内部部品(カム等)が干渉していないか確認しておきますが、確認後マジックカケは外しておきます。 操作パネルの右側の爪をミシン右カバーに入れます。ネジを付けたら、右カバーのネジも締めておきます。 ネジは4本を最初から1本づつをいきなりきっちり締め込まずに、それぞれを軽く浮いた状態にしておいて、全部のネジを取り付けたら最後にすべてを締め付けるようにします。 コネクタを差し込みます。もし、ハーネスを取り回しにくいようであれば、ネジを取り付ける前に挿しておきますが、やりやすい方で。 上フタを被せますが、この時色々な電線をフタで挟まないようにのぞき込んで確認しながら被せてください。 ネジを取り付けます。 9)マジックカケを取り付けます。 マジックカケの取り付け位置を決めておいてから、取り付け面の長穴から左に薄手の両面テープを貼ります。ネジで固定します。 両面テープはマジックカケが上下に動くことを防止するためですが、動かないようでしたら貼らなくてもいいです。 10)動作確認 まずは、手ではずみ車をゆっくり回してどこかが干渉していないか確認します。 糸をかけてミシンを動かしたとき、糸がどこかに引っかからないか確認して、問題なければ終了です。 |
A 位置の決定に際しての参考 マジックカケは、工業用ミシンへの取り付けを前提に設計されているようですので、位置に関しては工業用ミシンに取り付けた画像がネット上で散見されると思います。 それが一応の参考位置となるでしょう。 が、実はエクシムプロ9400LS「極」にずばりそれそのもの(マジックカケ)が付いていますから、マジックカケの左端の位置を決めるのに参考にするとよいでしょう。 私はもっと左側へも(糸天秤寄りへも)調整できるように、9400LSよりも少し上に取り付けました。取り付け後に自分なりに色々微調整してみようかと思ってそうしましたが、基本的には9400LSと同位置でよいのではないでしょうか。 B 穴開け時のワンポイント ドリル穴は、今回はM5の下穴ですので4.2ミリを使用しますが、いきなり4.2ミリを開けようとすると刃先はポンチのように尖っているわけではありませんので、慣れない人は正規の位置への穴開けが出来ないかも知れません。 自信のある人はそのまま開ければよいですが、そうでない場合はもう少し細いドリルで(私はまず2ミリで開けましたが、3ミリくらいでもよいです)ほんの少しだけ開けるとよいでしょう。 ドリル先端のガイドになる程度の深さの穴開けで十分です。 C ポンチ位置がずれたときの裏技として、万が一最初にポンチを打ったときにポンチ穴が微妙にずれたときは、ポンチを正規の穴位置方向に向けてやや斜めに倒して当て、修正したい方向に向かって少しずつ叩きます。 こうすることで1ミリくらいのズレは修正できます。 D ドリル穴を開ける際の角度 ミシンを台などに置いた状態が地面と平行と仮定して。 ドリルは必ずしも地面と平行と考えずにあくまでマジックカケを取り付ける「ミシンの面に対して垂直」に穴開けをします。 何故かというと、そうしないとネジを締めたときにマジックカケとネジの座の部分がぴったりと当たらなくなるからです。機種や取り付け位置によってではありますがマジックカケを取り付ける場所はやや斜めになっていると思います(私がエクシムプロに取り付けた際の取り付け位置ではそうなりました)。 そうなるとネジの座の全体ではなく上部の一点で締めることになってしまいます。なのでドリルで穴を開ける際に取り付け面とドリルとが縦横方向ともに垂直になるように気を付けて穴開けします。穴開け最中の人の感覚は以外と当てになりませんから穴開けは少しづつ確認しながらするようにしましょう。ただし、そこそこ穴を開けてしまったら修正は効きませんのでその時は諦めてそのまま穴を開けてしまいます。 |